映画日記 2005
本文へジャンプ 8月6日更新 

「ルパン」 フランス映画
8月5日13:00 ヘラルド試写室(ヘラルド)

子供の頃から父親に盗みのテクニックを仕込まれたアルセーヌ。
ある日父親は何者かに殺される。
成人したアルセーヌは紳士然とした振る舞いで社交界で盗みをはたらいていたが、
ひょんな事からフランス王室を巻き込んだ陰謀に深入りしてしまう。
モーリス・ルブランの小説の映画化で、「ルーブルの怪人」のジャン・ポール・サロメ監督作品。
義賊のようなたいそうな正義を振りかざすが、所詮は盗人なので主人公に対して
冷たい目で見てしまう。ルパン役のロマン・デュリスもしまらん顔やし。
父の死の真相やら、陰謀やら、十字架の秘密やら、不老不死のおばばやら、
あれもこれもと盛り込みすぎて話がよく見えない。
ちゃんとした監督が撮ったらもう少し面白くなったかもしれない。


「ファンタスティック・フォー」 アメリカ映画 
8月4日19:00 完成披露試写、リサイタルホール(FOX)

科学者のリードはかつてのライバルで実業家のビクターの資金援助を受け、
仲間のスー、ジョニー、ベンらと宇宙空間で遺伝子実験をしていた。
しかし宇宙嵐を浴びた彼らは身体に異変が起こる。
リードはゴム人間に、スーは透明人間に、ジョニーは人間たいまつとなって空を飛び、
ベンは岩石男となってしまった。
並はずれた能力で人々を救う彼らを人々は「ファンタスティック・フォー」と呼ぶようになる。
ところがビクターは自分の能力を悪の道で使おうと企てていた。
昔の漫画の映画化。
彼らの身体変化があまりにも漫画じみてて、大人の見るような映画ではない。
「Xメン」ともネタかぶってるし、今更こんな漫画を映画化する意味がない。
主役連中もなんか安っぽい。


「シンデレラ・マン」 アメリカ映画 
8月4日13:00 ヘラルド試写室(ブエナ)

ボクサーのジム・ブラドックは妻と二人の子供に囲まれ幸せに暮らしていたが、
試合で無理をして拳を痛めてしまう。
折からの大恐慌で日雇いの仕事を見つけるのもままならない。
貧しさのどん底から這い上がるためジムはもう一度ボクサーとして再起にかける。
ラッセル・クロウ、レニー・ゼルウイガーにロン・ハワード監督と、最強のアカデミー・トリオ作品。
再起をかけるボクサー物はよくあるが、彼の最大の敵は貧乏。とても惨めなシーンが前半続く。
ボクシング協会に物乞いしに行くクロウの演技は、抑制が良く効いて哀れさを増幅させる。
マネージャー役のポール・ジアマッティ(「サイドウェイ」)がいい味を出して印象を残した。
物語はお約束の臭い物だけど、そこはロン・ハワード。見せ方が実にうまい。
だけどこのタイトルはいただけない。せっかくの感動ドラマなのに、これでちょっと損してると思う。


「奥様は魔女」 アメリカ映画
8月2日13:00 ソニー試写室(ソニー)

魔女のイザベルは普通の人間の生活に憧れ、父親の反対を押し切って
人間界で一人暮らしを始める。
ひょんな事からドラマ「奥様は魔女」のヒロインに抜擢され女優デビューを果たすが、
この番組で返り咲きを狙うスターのジャックの添え物的な役柄。
わがままなジャックに従順だったイザベルにも自我が芽生え、人気も後押しして
積極的に役をふくらませる。やがて二人の間に恋が芽生えるが、イザベルは
自分が魔女だと言い出せない。
「恋人達の予感」「ユー・ガット・メール」のノーラ・エフリン監督・脚本・製作、
ニコール・キッドマン主演のラブ・コメディー。
この作品のにコールは年齢を感じさせない可愛さ。
しかし相手役のウィル・フェレルは落ち目のスターという役どころはピッタリだけど、
ニコールの恋の相手としては、いくらコメディーといえどもあまりにもブ男過ぎる。
昔の人気テレビ番組をリメークした映画だけど、物語はちょっとお手軽すぎる。
キッドマンやマイケル・ケイン、シャーリー・マクレーンなど俳優陣だけが豪華。


「南極日誌」 韓国映画 
8月1日10:30 東宝試写室(シネカノン)

韓国の6人の探検家が南極の到達不能点目指して、そりを引きながら進んでいた。
ある日雪原に墓標のような木のモニュメントを発見し、そこで日誌が発見される。
書いたのは80年前に彼らと同じように到達不能点を目指して遭難したイギリス隊だった。
やがて天候が悪化し進退もままならなくなる。隊で意見が二分するが、隊長のドヒョンは
強硬に探検続行を主張、隊員達は疑心暗鬼に駆られるが、イギリス隊と同じ道をたどっているとは
知るよしもなかった。
「シュリ」「大統領の理髪師」のソン・ガンホ、「オールド・ボーイ」のユ・ジテ主演作品。
いろんなジャンルの映画をあの手この手繰り出してくる韓国映画、今回の南極は
物語が広がりそうだけど、白い世界ばかりで場面の変化が乏しく、「白鯨」のエイハブ船長のように
目的にとりつかれた隊長をソン・ガンホが演じているが、監督の力量不足かいまいち奥行きがない。
面白くなりそうな題材なのにちょっと残念。


「キャプテン・ウルフ」 アメリカ映画
7月26日19:00 完成披露試写、リサイタルホール(ブエナ)

海軍特殊部隊のウルフは拉致されていた核発射阻止プログラム「ゴースト」の開発者プラマー教授の
救出に失敗、博士は帰らぬ人となる。
ゴーストのデータが保管されていると思われるスイス銀行からプラマー夫人が、データを持ち帰るまで
ウルフは家族の警備を任され、ハウスキーパーとしてプラマー家に赴くが、プラマー家には手に負えない5人の
子供達がいて、子育て経験のないウルフにとって最も過酷なミッションとなってしまった。
アクション俳優ヴィン・ディーゼル主演のコメディー。
シュワちゃんも刑事が幼稚園に潜入する「キンダガートン・コップ」というコメディーを撮ったし、スタローンも
「刑事ジョー ママにお手上げ」と言う年寄りをお守りする刑事役でコメディーに出てた。
筋肉系俳優は一度は子供や年寄りを相手にコメディーするのが慣わし。
ディズニー作品やし、あまりおもしろくない。
核兵器阻止プログラム「ゴースト」を探すために主人公が博士の家にハウスキーパーとなって入り込むが、
やっと見つけた「ゴースト」と書かれたCD−ROMをパソコンに入れると、ウーピー・ゴールドバーグや
パトリック・スウェイジらが出てくる。
ここだけ少し笑った。


「ランド・オブ・ザ・デッド」 アメリカ映画
7月22日10:15 UIP試写室(UIP)

ゾンビに支配された世界。人々はマンハッタンのような川の中州の街で外界を遮断して生きていた。
しかしこの残された安全な場所もカウフマンら一握りの金持ちに支配され庶民は貧しい生活をしていた。
ライリーはゾンビうごめく外の世界から生活物資や贅沢品を運び込むカウフマンの傭兵部隊だが、
密かにこの街からの脱出を企んでいた。
ゾンビ達は次第に知能を付け、川を渡って街に迫って来るのだった。
ゾンビ映画の生みの親ジョージ・A・ロメロが20年ぶりにメガホンを取ったゾンビ映画。
強力火器で遊びのようにゾンビをやっつける傭兵達を描くことによって、「人間弱者、ゾンビ強者」という
昔ながらの構図が逆転し、人間の方がむしろ悪者になっている。
ただ食料として人間を襲うだけでなく、虐げられたゾンビが人間に復讐すると言う側面もある。
目新しいのはこの部分だけで、ゾンビメイクやゾンビの動きなど、技術的には何ら進歩もなく、話も古くさい。
デニス・ホッパーが絵に描いたような悪人として登場。ロメロ演出は時代遅れ。

「ライフ・イズ・ミラクル」 フランス・セルビア=モンテネグロ映画
7月21日15:00 ヘラルド試写室(ギャガ)

1992年ボスニア。セルビア人の鉄道技師ルカはオペラ歌手の妻ヤドランカとプロ・サッカー選手を目指す
息子のミロシュと田舎の駅でのんびり暮らしていたが、ミロシュに召集令状が届く。
ミロシュが戦地に赴く頃、妻のヤドランカは楽団の男と駆け落ちしてしまう。
内戦は激化しミロシュが捕虜になったと知らせを受けるルカ。
そんな時、捕虜交換要員としてルカが面倒を見ることになったのは敵側の名家の娘サバーハだった。
生活を共にするうち二人の間に愛情が芽生えてきたが、捕虜になった息子のミロシュを取り戻すことは
愛するサバーハとの別れを意味していた。
ボスニア内戦に翻弄される庶民を描いた珍しいセルビア・モンテネグロ映画。
国の事情やボスニアでのムスリムの存在がよくわからないので、所々で話が見えにくくなる。
息子が戦争に行くまでが長いので、肝心のサバーハが後半にしか登場しない。
あれもこれもと盛り込んで結局2時間半を超える上映時間になってしまった。
もっと全体的にすっきり出来ると思う。
途中でファンタジーになる部分があるが、そこだけなんか浮いているし、ラストもしっくり来ない。
この監督のノリはようわからん。


「ダニー・ザ・ドッグ」 フランス・アメリカ映画
7月20日16:15 梅田ピカデリー

ダニーは幼い頃から高利貸しのバートに戦闘マシーンとして犬のように育てられていた。
首輪をはめられ、取り立て先で逆らう相手を痛めつける。
やがて生死をかけたバトル・ショーにスカウトされ、過酷な戦いを強いられる。
そんなある日バートに恨みを持つ者の襲撃で、車は横転。ダニーはバートから逃げる。
忍び込んだ倉庫で出会ったのは盲目の調律師サム。ピアノの音色に遠い母の記憶を呼び覚まされるダニー。
そんなダニーをうちに連れ帰り世話をするサム。サムと泣き妻の連れ子であるヴィクトリアから家族同然の
愛情を感じたダニーにいつしか人間らしい感情が芽生えてくるが、九死に一生を得たバートはダニーを
取り戻しにやってくる。
ジェット・リー主演、リュック・ベッソン脚本作品。
普段はおとなしいが首輪をはずしたとたんに凶暴になる。首輪がスイッチ代わりになっているが、
極端すぎて首輪をしてる時のリーはアホみたい。
ボブ・ホスキンスもステレオタイプの悪役。
物語が単純すぎて、ラストは何のひねりもなく終わる。
ベッソンは思いつきだけで映画を作りすぎる。
モーガン・フリーマン、またしてもくだらん映画に出てしもた。


「マスター・アンド・コマンダー」 アメリカ映画
7月17日 ビデオ(WOWOWにて収録)

1805年、ナポレオン軍の快進撃の前、イギリス海軍のオーブリー艦長は少年士官候補生達と
フランス海軍に立ち向かう。
武装や船足など圧倒的に優位なフランス艦アケロン号に対し、オブリー艦長は優れた戦術で
対抗するが、敵はフランス軍のみならず自然も彼らに牙をむく。
2003年、ラッセル・クロウ主演、「刑事ジョン・ブック」「トゥルーマン・ショー」のピーター・ウィアー監督作品。
「トロイ」など流行の歴史戦記物ブームに乗って、趣向を変えた海洋戦闘映画。
正攻法で撮られそつがない。
所々に戦闘シーンがあるものの、ほとんどのシーンが船の上なので画面が単調になるところだが、
ガラパゴス島に上陸して珍しい生物も見せつつ画面に変化を付ける。なかなか考えられた脚本。
終わってみればカリスマ艦長のラッセル・クロウだけが目立った映画だった。


「スターウォーズ エピソードV シスの復讐」 アメリカ映画
7月13日9:45 ナビオTOHOプレックス

アナキンが暗黒面に落ち、ダースベイダーが誕生する第1部の完結編。
CGのレベルはすごすぎて、もう「すごいこと」と感じないほど全編のクオリティーは高い。
こんな製作費をつぎ込んで映画作られたら他のSF映画はもうどんな事しても特撮技術では勝てない。
ただ、公開に合わせてテレビで過去のシリーズよく放映していたが、
昔の特撮は今とは比べ物にならないぐらいちゃちだけど、手作りの味がある。
今はハン・ソロのような魅力あるキャラクターもいないし、コミカルな場面も少なくほっこりする場所もない。
どちらもエンターテイメントとしては重要な要素だが、最近作は確かに誰も見たことのないすごい世界を
映像化したけど、味が無くなったような気がする。
メカのギミックも目新しい物はない。


「アイランド」 アメリカ映画
7月12日19:10 完成披露試写、梅田ピカデリー(ワーナー)

とある施設でリンカーン・6・エコー達は暮らしている。
汚染された外界とは隔絶された無菌の施設で、軽作業に従事するだけで健康管理も行き届き、
食事もバランスを考えた物がそれぞれ供され、毎日清潔な衣服が支給される。
彼らの夢は抽選で選ばれる、汚染されてない最後の楽園「アイランド」に移住すること。
しかしリンカーンが思いを寄せるジョーダン・2・デルタがアイランド移住が決まったとき、
ひょんな事で自分たちは臓器移植のために金持ち達によって作られたクローン人間だと知る。
アイランドの存在は嘘っぱちで、ジョーダンの身が危ない。リンカーンはジョーダンを連れて
施設からの脱出を試みる。
ユアン・マクレガー主演、スカーレット・ヨハンソンに監督が「アルマゲドン」「パールハーバー」のマイケル・ベイ。
前半はちょっと「マトリックス」のようやったけど、後半からはすごいアクションシーンの連続で、
施設を脱走した2人を追う追っ手が装備の充実度、チームワークなど手強く魅力的。
こんなワクワクするアクションシーンは2年ぶりぐらい(その前は「バッド・ボーイズ 2バッド」)。
メカもいいし。さすがマイケル・ベイ。アクションでは今年NO.1の映画。


「ドリーム・キャッチャー」 アメリカ映画
7月10日 ビデオ(WOWOWにて収録)

幼なじみのジョンジー、ヘンリー、ピート、ビーバーは子供の頃、いじめられてる知恵遅れの少年
ダディッツを助け、彼から不思議な力を授けられる。
その能力に助けられたり苦しめられたりしながら4人だけの秘密として成人する。
それぞれ職業を持った4人はハンティングに出かけるが、山小屋で得体の知れない何かに襲われる。
スティーブン・キング原作の2003年度公開作品。
悪評は聞いてたけど、これほどひどいとは思わなかった。
「スタンド・バイ・ミー」や「グリーン・マイル」などの自身のヒット作のええ所取りで
1作書きましたというような原作で、後半はまったく別の物語。
何でこんなタイトル付いてるのかもわからん。
映画製作者もいくらキング作品は当たると言われても、こんな原作に手を出したらあかん。
こんな映画にモーガン・フリーマン引っ張り出したらあかんし、フリーマンも金は儲かったかもしれんけど、
何で出たんやろ。汚点にしかならん作品。


「アップルシード」 日本映画
7月10日 ビデオ(WOWOWにて収録)

2131年、世界大戦後の荒廃した世界で、女性兵士のデュナンは謎の一団に連れ去られる。
彼女が連れてこられたのは大戦後に作られた平和な理想都市「オリュンポス」。
そこでかつての恋人ブリアレオスと再会するが、彼は戦場で負傷し全身サイボーグとなっていた。
オリュンポスの人口の半分は人間に危害を加えないクローン人間「バイオロイド」で構成され、
七賢人と呼ばれる老人達とスーパーコンピューター「ガイア」によって司られていた。
一見理想郷に見えるオリュンポスだがデュナンはなにか裏にうごめく物を感じていた。
2004年公開の士郎正宗原作のアニメ。
カット割りやメカデザインなど、さすが世界に誇る日本のアニメでよくできているが、
キャラクター達がどうも後にフィギュアにして売ろうという意図が見える。
女性の胸を強調したコスチュームやしぐさなど、人物がオタク向けにデザインされている。
この手のアニメでよくある世界観も理屈っぽいし。
オタク向けじゃなく、もっと一般ウケするアニメを作って欲しい。


「ミリオンダラー・ベイビー」 アメリカ映画
7月8日16:10 梅田ピカデリー

フランキーは小さなボクシングジムを経営して、トレーナーとしては一流だが商才はなく、
有望選手達は有名ジムに引き抜かれていく。
元ボクサーで今はフランキーの下で働くスクラップは、そんなフランキーを優しく見守っていた。
そこへ指導をして欲しいとマギーがフランキーのもとに訪れるが、女性は教えないと断るフランキー。
諦めずになけなしの金でトレーニング代をスクラップに渡し、一人で黙々とサンドバッグを叩くマギーに
ほだされ、フランキーはトレーナーを引き受ける。
マギーはめきめきと才能を開花させ連戦連勝。
フランキーとマギーの間には父娘のような愛情が芽生え始めていた。
そしてビッグ・マネーをかけた大試合が組まれたが、相手は汚い手を使うことで有名な「青い熊ビリー」だった。
クリント・イーストウッド主演・監督作品。
本作でヒラリー・スワンクとモーガン・フリーマンがそれぞれアカデミー主演女優・助演男優賞を、
そしてイーストウッドに監督・作品賞をもたらした。
イーストウッドとフリーマンのコンビは、じいさん役者として人気実力とも最強タッグ。
ここにあまりきれいじゃないがスワンクが芯のある演技で絡むので作品の厚みが出た。
ハラハラの試合シーンに孤独感を抱えたフランキーとマギーの親子のような愛情を絡めた
映画かと思っていたら、イーストウッドはもう一波乱用意していた。
それによって物語はより重厚になったが、見終わって少し心が重くなる。


「私の頭の中の消しゴム」 韓国映画
7月7日19:30 完成披露試写、梅田ピカデリー(ギャガ)

建設作業員のチョルスと建設会社の社長令嬢のスジンはふとしたことで出会い、
障害を乗り越え結婚する。
しかしスジンは若年性痴呆に冒され、どんどん記憶が消えていく。
部屋のいたる所に自分の名前、夫の名前、自分の住所、電話のかけ方などノメモを貼り、
スジンの記憶を守ろうとするが病気は進行し、愛するチュルスすらも忘れていく。
日本のドラマを映画化した「MUSA 武士」のチョン・ウソン、「ラブストーリー」のソン・イジェン主演の
ラブストーリー。
後半の愛する者の記憶が消えていく悲しさを際だたせるため、前半で二人の愛を丹念に描くが、
ここをダレる寸前に何とか乗り切って後半に繋いだ。
新しい記憶から消えていくので献身的な夫のことは忘れて、昔の不倫相手を見て微笑むところが悲しい。
建設作業するチョルスがかっこよすぎるが、そこは「ラブストーリーなので美男美女でないと」と
割り切って見ないといけない。
話はわかりやすく、ソン・イジェンの魅力爆発。日本人にも好かれる女優だと思う。


「ノロイ」 日本映画
7月6日15:30 東映試写室(ザナドゥー)

昨年、怪奇実話作家小林雅文が「呪い」をテーマにしたビデオ作品を完成させた後、自宅が全焼。
焼け跡から妻の遺体が発見されたが小林は行方不明となった。
「リング」「呪怨」シリーズのプロデューサー、一瀬隆重が追加取材を加え公開にこぎ着けた。
隣家から聞こえるいないはずの赤ん坊の泣き声、不気味な隣人、失踪した超能力少女、
テレビ取材で訪れた心霊スポットでの怪現象。そしてダムの底に沈んだ寒村に伝えられた「かぐだば」伝説など。
バラバラの事象が一つに繋がって行き、ビデオの出版社に小林本人からテープ入りのビデオカメラが届き、
驚愕の事実が明らかになる。
全体を完全にドキュメンタリーと見せかけた「ブレア・ウィッチ」方式。
面の割れていない役者を配置して、作り物とバレないように細心の注意が払われているが、
時々見たことのある俳優が出てくる。
カット割りなどドキュメンタリー的に徹底して撮ろうとしているが、所々わざとらしさが見えてしまう。
役者達はドキュメンタリーに見えるよう自然に振る舞おうとすればするほど、芝居に見えてしまうという
パラドックスに陥る。
主人公小林役の役者はアドリブがあまりきかない。
小林雅文自身のサイトにずいぶん前からの日記なども掲載されてたり、このビデオを出版しようとしてた
出版社のサイトもあったり手が込んでいるが、すべて「ブレア・ウィッチ」ですでにやってた手法。
日本版「ブレア・ウィッチ」として見る映画。
プレスシートは巻物になっていて凝っているが、書棚にしまいにくい。


「宇宙戦争」 アメリカ映画
7月1日 ナビオTOHOプレックス

レイは車好きの港湾労働者。離婚して別れた子供達が自宅に来る日に遅刻して、子供達からひんしゅくを買う。
その日奇妙な雷鳴がとどろき町は停電、車もすべて止まってしまった。
地中から巨大な機械が現れ人間達を殺戮していく。その様を目撃したレイは子供達を連れ町を脱出する。
各地で同じような惨状が報告され地球外からの侵略だとわかる。圧倒的な強力火器の前に人類はなすすべもなく、
レイ達はただ逃げまどうばかりだが、異星人達は容赦なく人類を追いつめていく。
トム・クルーズ主演、スティーブン・スピルバーグ監督作品。
映画にしかできない世界の創出。スピルバーグらしい映像満載だけど、「サイン」や「インディペンデンス・デイ」など
どこかで見たようなシーンが随所にあって、オリジナリティーという面ではくすんで見える。
たいがいこの種の映画のラストは「そんなアホな」というお粗末な結末が多いが、本作も同様。
まぁ無理矢理理屈こねるために引っ張るよりはましやけど。
ダコタ・ファニングは子役として円熟期に入ったと思う。本作でトップ女優並みのギャラ・ランクに躍り出たんではないやろうか。


「ハービー 機械じかけのキューピッド」 アメリカ映画
6月28日19:20 完成披露試写、OS劇場(ブエナ)

マギー一家は祖父・父・兄と三代続くレーシングチームだが、成績がふるわずスポンサーから逃げられそう。
マギーは兄よりドライビングテクはあるものの、無茶な運転で父からレースを禁止され、
大学を卒業してニューヨークで就職が決まっていた。
卒業祝いに買ってもらったのはポンコツのワーゲン。
ハービーというこの車は何か意志を持ち、マギーに話しかけてくるよう。
財政難の父のチームを救うためマギーは昔なじみの整備士ケヴィンに協力してもらって、ハービーでレースに出る。
69年のディズニー映画「ラブ・バッグ」の続編。
前作から35年経ってるが、技術的にはそれほど変わってない。
当時は車の表情など可愛かったが、今同じような事してもウケない。時代錯誤。
いくら改造してもあんな車高の高い車でレースに勝てるわけがない。コメディーにしても説得力がない。
大人が見てもこの程度では喜べないし、子供向けとも思えない。ファミリー層を狙ったようだがキャラが弱すぎる。
今なぜこの映画の続編を作ったのか、この程度の技術で客が納得するとでも思ったのか、
制作者の意図がわからない。


「ゲロッパ!」 日本映画
6月25日 ビデオ(WOWOWにて収録)

数日後に収監されるヤクザの組長羽原の心残りは、25年前に生き別れになった娘との再会と、
大好きなジェームズ・ブラウンの名古屋公演に行けないこと。
そんな羽原の気持ちを察した弟分の金山は子分達に「ジェームズ・ブラウンをさらってこい」と命令を下す。
井筒和幸監督、西田敏行主演作品。
西田敏行と岸辺一徳が解き放たれたようにキャラクターを広げまくる。やりたい放題。
ジェームズ・ブラウン誘拐作戦と父娘再会が同時進行してる上に、内閣調査室まで絡んでくるので
話が混乱するかと思いきやさすが井筒監督、ドタバタの中でもちゃんとさばいてる。
日本映画界の中で、ちょっと変やけど万人ウケするエンターテイメント作家として井筒監督はその地位を確立した。
それにしても西田敏行は大阪弁がうまい。とても耳のいい人やと思う。


「ロボッツ」 アメリカ映画
6月17日19:00 完成披露試写、厚生年金芸術ホール(20世紀FOX)

ロボットの世界、田舎町で暮らす発明好きの青年ロドニーは、自分の発明で両親を楽させてやりたいと、
単身大都会にやってくる。
ロボット達のカリスマ、実業家にして発明家のビッグウェルド博士を訪ねるが、今は引退して誰にも会わないと
門前払いを食らう。
途方に暮れているロドニーに親切にしてくれたのはポンコツロボットのフェンダー達。
彼らのアパートにやっかいになり、パーツがなく不自由している近所のロボット達の修理をしてやるが、
ビッグウェルドの跡を継いだラチェットはわざと古いパーツの生産を中止し、自社でアップグレードしないロボットをスクラップに
しようと画策していた。
「アイス・エイジ」のクリス・ウェッジ監督のフルCGアニメ。
ロボット達がそれぞれ表情豊かで個性があってユーモラスだが、もうCGで驚くようなことはないので新味に欠ける。
話も単調で、大人から子供までと言うよりは子供中心のファミリー向け映画。
ロボットにとても人間くさい下世話なことをさせて、ディズニーアニメと違うところをみせているが、
全体的なトーンが「なんか違う」とずっと違和感を覚えたまま終わる。この違和感はいったい何やろう?


「亡国のイージス」 日本映画
6月9日19:10 完成披露試写、梅田ピカデリー(ヘラルド)

東京湾で訓練中の海上自衛隊のイージス艦が乗ったられた。
首謀者である某国の工作員達と、彼らに呼応した国を憂う自衛官将校達によっての行動だが、
艦にはわずかの量で東京を壊滅させるガス「グソー」が持ち込まれていた。
日本政府に脅しをかける彼らに、先任伍長の仙石はたった一人で反撃を試みる。
今年大ブレイク、「ローレライ」の福井晴敏原作。阪本順治監督に、真田広之・佐藤浩市・中井貴一・
寺尾聡・原田芳雄・岸辺一徳ら俳優陣も強力。
本物のイージス艦を使った映像は当然リアリティーがあるが、艦に残った真田広之一人で工作員相手に戦う様は
どうも「ダイハード」や「沈黙の戦艦」を思い起こさせる。
国を憂うのはいいが自衛隊員が北朝鮮の工作員に呼応するとはとても思えない。
ここで「?」が付いてしまうので、話に入っていけない。
映画の中で水兵達がみんな腰に日本手拭いを付けていた。昔の学生のように腰に垂らしてるのではなく、
ベルトに通して後ろポケットに端を入れている。何のためかその説明が全くない。すごく気になった。


「ワンダーランド」 アメリカ映画
6月8日15:30 東宝東和試写室(東北新社)

1981年ハリウッド。かつては多数の映画に出演したポルノスター、ジョン・ホームズは今は落ちぶれ、
友人達にドラッグせびりながら一攫千金を夢見ていた。
ある日、恋人のドーンの待つ部屋に戻ってきたジョンの顔には大きな傷があった。交通事故だと言い張るが
テレビでは男4人惨殺のニュースが伝えられていた。そこはジョンと共に訪れたワンダーランドの1室。
やがてジョンと暗黒街の黒幕ナッシュが容疑者として取り調べられるが、事件に関係する人間の証言が
ことごとく食い違い、追いつめられたジョンは元妻のシャロンに助けを求める。
ヴァル・キルマー主演、ジェームズ・コックス監督作品。
食い違った証言で事件を再構成する「羅生門」スタイルのサスペンスだが、ただ謎の殺人事件だけを
描いたのではなく、落ちぶれたダメ男ジョンと愛人、元妻の愛憎を絡め、それによって証言に微妙な影響を与えた。
ただのだらしない浮気性の男だけど、2人の女性の愛と理解を得るような魅力も必要なのでヴァル・キルマーの
演技の見せどころ。
小品ながらジェームズ・コックス監督もうまくまとめた。


「1_0 ワン・ポイント・オー」 アメリカ・ルーマニア・アイスランド映画
6月8日13:30 東宝東和試写室(アルバトロス・フィルム)

コンピューター・プログラマーのサイモンは催促されている仕事がはかどらない。
苛立ちの毎日を過ごすある日、アパートに差出人不明の謎の箱が届く。
開けてみるが中は空っぽ。何度かそんな箱が届くが、やがて他の住人にも届いているる事がわかり、
住人達が謎の死を遂げてゆく。
宅配業者の友人はサイモンの血液を調べると、巨大企業が開発したナノ・ウイルス「バージョン1_0」に
感染しているという。
誰がなぜ、疑心暗鬼に駆られたサイモンは怪しげな住人達を疑うが、住人達がある共通した不可解な
行動を取っていることがわかる。
この映画が長編デビューとなったジェフ・レンフローとマーテン・トーソンのコンビ監督作品。
「クラッシュ」のデボラ・カーラ・アンガー、「ドッグヴィル」のウド・キア、「エイリアン2」のビショップ役
ランス・ヘンリクセンら癖のある個性派俳優が怪しげな雰囲気を醸しているが、その全体的な「怪しさ」が
勝ってしまって「物語」が希薄になってしまった。
それが制作者の意図したものかも知れないが、思わせぶりな小道具類も物語の主軸から外れ、
ただ「怪しさ」を演出するだけの装置になってしまった。


「アルフィー」 アメリカ映画
6月7日13:30 UIP試写室(UIP)

マンハッタンでリムジンの運転手として働く英国人のアルフィーは、二枚目でモテモテ。
有閑マダムの相手をしたり、手料理を食べたいときには子持ちのバツイチ女性、時には友人の彼女とも、
日替わりでアバンチュールを楽しんで人生を謳歌していた。
しかし美しく奔放なニッキーと出会ったことからアルフィーの生活は変わりだす。
「コールド・マウンテン」「アビエイター」のジュード・ロウ主演のラブ・ロマンス。
文字通り二枚目の役なのでジュードの魅力全開。ヘアー・スタイルからファッションもばっちり決め、
おまけにカメラ目線で甘い微笑みを向ける。
ジュードの女性ファンにはたまらない映画だけど、「ロード・トゥ・パーディション」で生え際を後退させ、
みそっ歯にしてせっかく役の幅を広げたのに、10年前のジュードならいざ知らず、今またこんな役しても意味ない。
話も全然共感できない。ただの女たらしがしっぺ返し食らう映画。


「バットマン・ビギンズ」 アメリカ映画
5月27日19:10 完成披露試写、梅田ピカデリー(ワーナー)

自分のせいで両親が死んだと思い込み、青年になっても親の跡を継がず世界を放浪するブルース・ウエイン。
「悪」とは何か、この答えを探すブルースは自ら犯罪を犯しブータンの刑務所に服役する。
そこからブルースを救い出したのはデュガードと名乗る男。
誘われるままヒマラヤの奥地にある宮殿に向かうと、そこにはラーズ・アル・グールと名乗る謎の男のもと、
悪を根絶する軍団が訓練に励んでいた。
デュガードの指導のもと修行に励むが、悪に対する容赦のない彼らの態度に袂を分かったブルースは、
故郷のゴッサムシティーに戻り、謎の怪人バットマンとして悪と戦っていたが、ブルースの前に死んだはずの
グールが姿を現す。
「メメント」「インソムニア」のクリストファー・ノーラン監督、「アメリカン・サイコ」のクリスチャン・ベール主演作品。
なぜバットマンは誕生したのか、子供の頃のトラウマも含め、前半はバットマン誕生物語で後半はゴッサム・シティー
での活躍を描く。
全体的なトーンは暗さを保っているが、昔のシリーズのようなジョーカーやMR.フリーズのような漫画チックな悪役は
登場しない。
バット・モビルも実用的だし、コミックのテイストを残しつつ現代的なリアル感で好印象。
リーアム・ニーソンが剣の手ほどきをするところはどうしても「スター・ウォーズ」を思い出させる。
モーガン・フリーマンはこの役ではもったいない。
ゲイリー・オールドマンは初め誰かわからないほど普通だった。こんな毒のないオールドマン見たことない。
フリーマンと言いオールドマンと言い、何も彼らでなくてもいい役。
渡辺謙がちょっとしか登場しないのが少し残念。


「チーム・アメリカ ワールドポリス」 アメリカ映画
5月24日13:30 UIP試写室(UIP)

平和を乱すテロリスト相手に国際警備組織「チーム・アメリカ」は世界各地で派手に戦っていた。
大量破壊兵器売買の情報を得たチーム・アメリカはブロードウェイの俳優ゲイリーをスカウトする。
ゲイリーの演技力でテロリスト組織に潜入しようというのだ。
渋々任務についたゲイリーの前に独裁者が立ちはだかる。
「サウスパーク」のトレイ・パーカーとマット・ストーン製作、全編操り人形のアクション・コメディー。
「世界の警察」を気取るアメリカを皮肉るため、サンダーバードばりの人形劇で
全編作り上げたばかばかしい映画。
ただ人形劇として細かなところまで手を抜かずクオリティーは高い。ギャグ映画はこう言うところが大事。
パリの石畳がクロワッサンの形をしていたり、ずいぶんギャグも細かいところまで作り込まれている。
随所に挟まれた歌もいいが下ネタが多すぎる。人形のSEXシーンは笑えるが少ししつこいし、ゲロのシーンも長い。
もうちょっとだけ節度があると笑えるものを、つい行き過ぎてしまうのがこの人達の悪いところ。


「皇帝ペンギン」 フランス映画
5月20日14:00 完成披露試写、リサイタルホール(ギャガGシネマ)

8880時間もかけ極寒の南極で皇帝ペンギンを撮った記録映画。
えさ場から繁殖場へ雪原の大行進、ブリザードの中での子育て、外敵との戦い、子供へえさを運ぶ
命がけの旅など、皇帝ペンギンの生態を余すところなく描いたその労力には脱帽するが、
皇帝ペンギンだけでは飽きてくる。
「ディープ・ブルー」のようにいろんな海洋生物が出てくると変化があるが、ペンギンだけでは画面の変化に乏しい。
これは「WATARIDORI」にも言えること。
最初はその映像に驚いたが、途中から鳥の種類が変わっても映像は代わりばえせず少しダレた。
まぁペンギンは直立してひょこひょこ歩くので可愛らしく、感情移入しやすい対象ではある。


「オープン・ウォーター」 アメリカ映画
5月13日13:30 東映試写室(ムービーアイ)

スーザンとダニエル夫婦はやっと取れた休暇でカリブ海のリゾートへ向かう。
仕事を忘れ沖合のスキューバーダイビング・ツアーに参加して、しばし海中散歩をして浮上すると、
ボートがいなくなっていた。スタッフが人員を間違えた単純ミスだが、
陸から遠く離れた大海原に取り残された二人を待ち受けていたのは寒さや鮫など、容赦ない
大自然だった。
かなりの低予算で全編ビデオ撮影。
シチュエーションとしては、かなりおもしろくなりそうな素材だが、どうも脚本がいまいち。
物語が広がらない。
彼らを取り巻く事態が素人の想像範囲内で収まってしまう。
夜、真っ暗になった海上で、雷の稲光で一瞬主人公達が見えると言う演出だけが光った。
ラストは「こんな終わり方ありかよ」と思ってしまうほど救いようのない終わり方。


「海を飛ぶ夢」 スペイン・フランス映画
5月3日 ナビオTOHOプレックス

26年間全身麻痺で頭しか動かせないラモンは死を望む。
尊厳死支援組織のフリアらは何とか法廷で彼の死を認めさせようとするが、家族や宗教関係者らは
反対する。
「アザーズ」のアレハンドロ・アメナーバル監督の尊厳死を扱った映画。
支援者の組織に弁護士、反対派、家族などそれぞれの立場の人間達がちゃんと描かれている。
みんないい人達だけどみんな考え方が違うし、どれがいいとも言えない。
微妙な問題をこれが正解とせず、すべての考え方を提示する。
切ない恋もあり、静かだけどじわじわ迫る物がある。
アメナーバル監督はやはりうまい。
脚本・映像のうまさもあるが、同じ全身麻痺の尊厳死反対派の牧師が家に来て
なんとか止めようとするシーンで、電動車いすが2階まで運べず神学生を伝令にして
1階と2階でやり合う。
尊厳死を望む者と反対派の直接対決という辛辣なシーンを、意見を伝えるため階段を上がったり
降りたりして四苦八苦する学生のコミカルな演出で緩和させるうまさ。
おまけに音楽まで担当していた。実に才能ある監督。


「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」 アメリカ映画
4月26日19:20 完成披露試写、梅田ブルク7(ギャガ・コミュニケーションズ)

国立海中海洋機関の調査員ダーク・ピットは、南北戦争時に財宝を積んだまま行方不明になった
装甲船がアフリカのどこかにあるとにらみ、ナイジェリアで調査を開始する。
同じ頃ナイジェリアで流行しだした伝染病の感染源を調べるWHOのエヴァはダークのボートに同乗し、
政情不安なマリへと向かう。
やがて彼らを謎の一団が襲ってくる。
クライブ・カッスラーの冒険小説「ダーク・ピットシリーズ」の映画化。
マシュー・マコノヒーがが主役のダークを演じているが可もなく不可もない。
ペネロペ・クルスも花を添えてるだけの役だし、お話も「活劇物としたらこんなもんだろう」程度。
シリーズ化は微妙なところだけど、ダークが所属する海中海洋機関が海にまつわるところなので、
常に毎回海を無理矢理絡めないといけない。このあたりが物語の足かせになるのではないかと思う。


「キングダム・オブ・ヘブン」 アメリカ映画
4月19日19:30 完成披露試写、ナビオTOHOプレックス(FOX)

12世紀ののフランス。妻子を失った鍛冶屋のバリアンのもとに、十字軍の武将ゴッドフリーが現れ、
バリアンは実は自分の息子だという。
悩んだ末、十字軍となりゴッドフリーと共にエルサレムへの旅立ちを決意する。
旅の途中剣の手ほどきを受け、たくましく成長したバリアン。
やがてエルサレムに到着したバリアンはエルサレム王から領土を授けられるが、そこで好戦的なギーの妻、
王女シビラに惹かれる物を感じる。
ギーはイスラムの指導者サラディンを打ち負かし国王の座を狙っていた。
やがてエルサレムをめぐりキリスト教徒とイスラム教徒の激しい攻防が繰り広げられ、
バリアンはエルサレムを守るため立ち上がる。
リドリー・スコット監督、「ロード・オブ・ザ・リング」のオーランド・ブルーム主演作品。
軍勢はCGだろうけど、技術は日進月歩なのでかなりリアルな大群となって圧巻。
確かに合戦シーはすごいが、「ロード・オブ・ザ・リング」や「トロイ」など砦を攻める映画が多いので
目新しさはない。
この手の映画によくあることだが、歴史的背景がよくわからないので物語がわかりにくい。
映画としてはよくできているのだが・・・。
他にジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソンが脇を固めている。


「香港国際警察」 香港映画
4月16日 ナビオTOHOプレックス

銀行を襲撃した武装集団ジョーらは、大胆にも警察に通報し駆けつけた警官隊を
楽しむかのように強力火器で血祭りに上げていった。
チャン刑事は犯人のアジトを発見、部下と共に乗り込むがいたる所に罠が仕掛けられ、
ゲーム感覚で部下が犠牲になっていく。
目の前で弟ら9名の部下を失ったチャン刑事は、それ以来酒浸りの自堕落な生活を送っていた。
そんなチャンの元に新しい相棒のシウホンがやってくる。
シウホンはなんとかチャンに警察官の誇りを取り戻させようと励まし、チャンも未だ捕まらない犯人達を
捕まえることが自分に対するけじめと、捜査を再開する。
ジャッキー・チェン主演の「ポリス・ストーリー」シリーズ最新作。
今までのコミカルな明るいジャッキーとは違い、目の前で無惨に部下を殺され、落ちぶれて悲しみをたたえた
刑事という今までなかった役柄。
中年になったジャッキーにはいい転換だと思う。
このところハリウッドでのワイヤーアクションやCG合成などで、アクションのキレのなかったジャッキーだが、
古巣香港に戻ってスピーディーな生身のアクションが復活。
偽闘やチェイスなどテンポもいいし、派手でハラハラさせる。
ジャッキー流正統アクションの復活。


「ザ・インタープリター」 アメリカ映画
4月8日19:00 完成披露試写、リサイタルホール(UIP)

国連で通訳として働くシルヴィアは誰もいない議場で偶然、マトボ共和国の
ズワーニ大統領暗殺計画を耳にしてしまう。
ズワーニは反対派を容赦なく葬り去る独裁者で、数日後に国連で演説をすることになっていた。
シルヴィアの通報で捜査に乗り出してきたシークレットサービスのケラーは、シルヴィアを保護するものの、
マトボ出身のシルヴィアが事件に関係してるのではないかと疑念を抱く。
ニコール・キッドマン、ショーン・ペン主演、シドニー・ポラック監督作品。
国連が重要な舞台と言うこともあり、初めて国連内部で撮影が許可された議場などは、
本物の重厚さが物語の厚みとなって伝わる。
心にかげりのある美女役キッドマン、妻を亡くし悲しみを抱えた捜査官ペンもぴったりの役どころ。
その二人を「マルコヴィッチの穴」のキャサリン・キーナーがしっかり支える。
主人公二人の抱える悲しみと随所に挟まれる緊迫したシーンとのバランスがいい。
ポラックの安定した演出のうまさ。
ただ国連内部のパニックルームにわりとあっさり入れてしまうのが腑に落ちない。


「甘い人生」 韓国映画 
4月6日13:00 ヘラルド試写室(ヘラルド)

ソヌはその腕っ節と度胸から、ギャングのボス、カンの信頼も厚く、ボスの経営するホテルの
支配人を任されている。
ある日ソヌはボスの若い愛人ヒスの監視を任され、裏切りを見つけたらすぐに連絡せよと命令を受ける。
数日間密かにヒスを監視するうち、人を愛したことのない自分の中に、今までなかった感情が芽生える。
ヒスの浮気現場を見つけたソヌだが、今回だけは見逃してやるとボスへの連絡をやめた。
しかしこのことがボスの知るところとなり、ボスから命を狙われ、敵対する組織からも刺客が放たれ、
順調だったソヌの人生はどん底に向かって転落していくのだった。
「JSA」「誰にでも秘密がある」のイ・ビョンホン主演作品。
ビョンホンのクールな魅力が全開だが、ひどく殴られて血みどろになっても、水をかけられると
まったく顔が腫れてない、きれいなままの顔。ちょっと2枚目を守りすぎ。
しかし韓国映画らしく、そら恐ろしいことを淡々とするシーンもあり、物語の強烈なスパイスとなっている。
喧嘩はめっぽう強いが、銃の扱いに不慣れで鉄砲撃つとなかなか当たらないのも、
韓国の銃事情を反映していてリアル。
ハリウッド映画ならソヌとヒスをはっきり愛し合わせるだろうけど、ヒスに対するわずかな心の揺れが
判断の切っ先を鈍らせ、人生を踏み外してしまう、この微妙なもろさがこの物語のポイント。
ハリウッドでリメイクするとバタ臭い展開になるねやろうなぁ。


「プライド 栄光への絆」 アメリカ映画 
4月1日13:00 UIP試写室(UIP)

1988年、テキサス州オデッサ。
この何もない田舎町の楽しみは地元パーミアン高校アメリカン・フットボール部の試合。
フットボールの選手達は子供達の憧れで、街の誇りだった。
そんな街の期待を一身に背負いながら小兵揃いの選手達はゲインズ・コーチのもと
州大会優勝を目指していたが、皆それぞれに深刻な悩みを抱え、人生でも過酷な戦いを
強いられていた。
ビリー・ボブ・ソーントンがコーチ役で出ているが、この映画のソーントンは、うまいのか
下手なのかわからん演技。
ただのスポ根感動物にせず、病身の母親を抱えた母子家庭の選手、スタープレイヤーだった
父親のプレッシャー、プロを約束された名選手の致命的な怪我など、それぞれの背負う物を
過不足なく挟み込んで物語の厚みを増した。
この人生物語が充実しているからフットボール・シーンがよけい生きる。
ソーントンの存在が時々消えるほど。
監督・脚本のピーター・バーグの正統的演出に好感が持てた。 


「ブレイド3」 アメリカ映画
3月29日15:30 ヘラルド試写室(ヘラルド)

人間とヴァンパイアの血をひくブレイドは今日も人間社会に潜むヴァンパイアを退治していたが、
ヴァンパイアの奴隷となった人間を誤って殺し、殺人罪で捕まってしまう。
しかしブレイドを警察から助け出したのは弓の達人アビゲイルと銃器の達人ハンニバル・キングら
「ナイトウォーカー」と呼ばれるヴァンパイア・ハンター達だった。
ヴァンパイア達はシリアのピラミッドから強大な力を持つヴァンパイアの祖先ドレイクを発掘し蘇生に成功。
人間に最終戦争を仕掛けようとしていた。
ウェズリー・スナイプスの人気シリーズ完結編。
日本刀のような刀を背中に差し、バッタバッタとヴァンパイアを切りまくる。徹底的にかっこよさを追求した
お馴染みのアクションに弓の達人などの仲間を加えてグレードアップ。
テンポもよく、何も考えずにハイテンションの物語にただただ身を任せてストレスを発散する映画。


「ハリーの災難」 アメリカ映画
3月21日 DVD

のどかな田舎町で発見された一人の死体。名前はハリー。
村人達は自分が殺したかもと勘違いをして死体を埋めたり掘り起こしたり。
一人の死体と村人達が巻き起こすブラック・コメディー。
アルフレッド・ヒッチコック監督の1956年の作品。
コメディーなのはわかるがのんびりしすぎて退屈。
あらすじを読んでおもしろそうと思ったが、話がそれほど発展せず淡々として変化が乏しい。
シャーリー・マクレーンのデビュー作。


「バタフライ・エフェクト」 アメリカ映画
3月17日13:00 東映試写室(アートポート)

エヴァンは子供の頃から一時的に記憶がなくなる「ブラックアウト」が頻繁に起こっていた。
精神科医師のアドバイスで日記をつけるようになったエヴァン。
ある事件がもとでエヴァンは引っ越しをする事になるが、エヴァンはその時の記憶がない。
幼い恋心を抱くケイリーに「必ず迎えに来る」と約束し二人は別の人生を歩むことになる。
成人したエヴァンは今ではブラックアウトが起きることもなくケイリーのことも忘れかけていたその時、
ふとしたきっかけで読んだ少年時代の日記の世界にエヴァンは引き戻されていくのだった。
アシュトン・カッチャーが脚本に惚れ込み映画化。
「バタフライ・エフェクト」とは蝶の羽ばたきが地球の裏では竜巻になると言う理論で、
過去に戻る超能力によってほんの少し過去を変えると、現在はとてつもなく変わってしまうということ。
はじめは見ていて混乱するが、だんだん事情が飲み込めてきて納得する。
前半随所に伏線が張られ、後半に生きてくる。
オリジナリティーのあるアイデアで、まだまだ映画のネタはあるもんやと感心。


「ヒトラー 〜最後の12日間〜」 ドイツ映画
3月15日13:00 ヘラルド試写室(ギャガ・コミュニケーションズ)

第二次大戦中のドイツ。22歳の美しい娘ユンゲはヒトラーの秘書として採用される。
ヒトラーのそばで役に立てる喜びに浸っていたが、やがて戦局は苦しいものとなり、
ソ連軍が首都ベルリンに迫っていた。
地下司令部からヒトラーは指令を出すが、爆音は鳴りやまず反攻するだけの戦力ももはやドイツにはなかった。
ベルリン陥落の最後の12日間を描いているがほとんどのシーンが地下壕の中。
追いつめられた焦りがよく出ているが、あまりにも丹念に描きすぎたため2時間30分の上映時間になってしまった。
もっとはしょれる所もあったのに無駄に長くなった。
ヒトラーは激昂したりするが女性には優しく描かれている。このあたりが今までのヒトラー像と違うところ。
最後のユンゲの脱出はちょっとあっさりしすぎ。


「ウィンブルドン」 イギリス・アメリカ映画
3月9日15:00 UIP試写室(UIP)

イギリスのベテラン・テニス選手ピーターは、かつて世界ランキング11位まで上り詰めたが今は119位。
ウィンブルドンの出場権を何とか獲得したが、今大会で引退して有閑マダム相手のテニスクラブでのコーチ就任が決まっていた。
ふとしたきっかけで飛ぶ鳥を落とす勢いの新人選手リジーと出会い、二人の心は急接近する。
リジーの声援でピーターは勝ち上がり、彼女はまさに勝利の女神だったが、テニスのためなら恋など犠牲にしろと教える厳しい
リジーの父のガードが堅く会うこともままならない。
リジーの父やマスコミの目を盗んで逢瀬を重ねる二人だが、やがてプレーにも微妙な変化が現れ心もすれ違い出す。
「スパイダーマン」のヒロイン、キルスティン・ダンストと「ビューティフル・マインド」「ドッグヴィル」のポール・ベタニーの
スポーツ・ラブロマンス。
スポーツ映画の中でもテニスを扱った映画は珍しく、ランキングを気にする選手の気持ちや、選手の格でホテルの部屋が違ったり、
落ち目な時は見放してたエージェントが勝ち進めばCMの話を持ってすり寄ってくるなど、舞台裏も描かれおもしろい。
恋する気持ちが闘争心を削ぎ、プレーに生彩がなくなってきたリジーの「テニスで『ラブ』はゼロなのよ」と名ゼリフもあり、
テニスと恋の行方をうまく絡めてまとめた。


「ハウス・オブ・ザ・デッド」 ドイツ・アメリカ・カナダ映画
3月8日15:30 東映試写室(日活)

サイモン達はとある島で行われるパーティーに参加しようと船着き場に行くが、船はすでに出てしまっていた。
漁船の船長に頼むが、その島は地元では「死の島」と恐れられ、誰も近づこうとしない。
チップをはずんでなんとか島に渡るが、パーティー会場には人の姿がない。
不審に思った彼らにゾンビ達が襲いかかる。
アーケードゲームの映画化。この種の映画のご多分に漏れず低予算でちゃっちい。
所々にゲームの映像が入る。これがうっとおしい。
ゲームを映画にしたのに、わざわざまたゲームの映像を入れるという監督の映画人としてのプライドはないのかと思う。
一応なぜゾンビ化したかという説明も入っているが、都合よく武器も大量にあったり、
ただただゾンビを撃ちまくる映画やった。


「レジェンド 三蔵法師の秘宝」 中国・香港・台湾映画
3月8日13:30 東映試写室(日活)

サーカス団「ザ・タッチ」で華麗なアクロバットの技を披露するインとトンの姉弟の元に、かつて団員でインの恋人だった
エリックが3年ぶりに戻ってくる。
エリックはアクロバット技術を生かし今では泥棒となり、富豪カールの注文通り各地から秘宝を盗み出していたが、
カールのもとから盗んできた「敦煌の心臓」と呼ばれる秘宝をインに見せる。
それは敦煌に隠された三蔵法師の秘宝の在処を探る重要な鍵となる物だった。
実はイン達は千年の昔よりその秘宝をチベットに戻す密命を帯びた一族の末裔だったのである。
はやる弟のトンは敦煌の心臓を持って旅立ってしまった。後を追うインとエリックだが、カール一味も彼らの後を追っていた。
「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」「グリーン・ディスティニー」のミシェル・ヨー主演のカンフーアクション。
ワイヤーアクションがわざとらしく、ただ吊られて空を飛んでいるだけ。カンフー技もキレが悪いし。
監督のセンスが悪い。CGもしょぼいし、ハリウッド映画を見慣れた者にとってはかなり見劣りする。
恋人役のベン・チャップリン(「シン・レッドライン」「ロスト・ソウルズ」)も締まらん顔で、コメディー要員なのか
アクション要員なのかわからん中途半端さ。
この種の映画はもうちょっと金集めて撮らんと。


「ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ」 アメリカ映画
3月2日19:00 完成披露試写、厚生年金芸術ホール(20世紀FOX)

9歳のエミリーは母が自殺したため心を閉ざしてしまう。父親で心理学者のデビッドはエミリーの心を癒すため
ニューヨークを離れ、郊外の一軒家で暮らすことにする。
田舎になじめないエミリーだが、地下室で出会ったという見えない友人「チャーリー」と話すようになり、
次第に明るさを取り戻していく。
デビッドも空想上の友を作るのはこの年齢ではよくあることだし、いい兆候と思っていたが、やがてチャーリーは
空想の人物とは思えないほど実体化していき、回りの人々に危害を加え始める。
父にロバート・デ・ニーロ、娘にダコタ・ファニングの2枚看板を配したサスペンス・スリラー。
『「シックス・センス」を凌ぐ恐怖』と、どんでん返しをアピールしているが、確かにどんでん返しはあるものの、
まさか今更というどんでんなので、さすがに「予測不可能な結末」だった。
デ・ニーロも何でもかんでも出たらあかん。
少し大きくなったファニングは暗いキャラがぴったり。
脚本はともかく「プール」のジョン・ポルソン監督は、母親の自殺している姿を目撃したエミリーの
瞳孔が開いているなど、細かい演出で無難にまとめた。


「クローサー」 アメリカ映画
2月24日19:20 完成披露試写、梅田ピカデリー(ソニー)

ロンドンの新聞社勤めで小説家志望のダンは街で出会ったアリスに一目惚れ。
ニューヨークでストリッパーをしていたアリスはダンと同棲を始める。
1年後小説家になったダンは本の写真撮影で訪れたカメラマンのアンナに惹かれる物を感じた。
アンナもまたダンに惹かれる物を感じたがアリスの存在を知り何とか踏みとどまった。
ダンの些細ないたずらからアンナは医者のラリーと知り合い、二人は結婚にまで発展する。
アンナの写真展の会場で2組のカップルは出会うが、ダンはアンナに愛の告白をする。
こうして4人の男女が入り乱れ、愛と苦悩の泥沼にはまりこんでいく。
「卒業」のマイク・ニコルズ監督作品。
4人の男女の愛憎が交錯する大人の恋愛映画やけど、愛しているくせに他の男(女)と関係して
別れたりひっついたり、何でお前らそんなに簡単にSEXすんねんと言いたくなるような、全然共感できん映画。
煮え切らん結末やし。
ジュリア・ロバーツやジュード・ロウはさすがに華があるが、本作でアカデミー助演賞にノミネートされた
ナタリー・ポートマンとクライブ・オーウェンの演技で、途中から存在感が逆転する。


「コンスタンティン」 アメリカ映画
2月22日19:20 完成披露試写、梅田ピカデリー(ワーナー)

コンスタンティンは人には見えない物を見る才能があり、おかげで子供の頃から苦悩し自殺を図る。
一命は取り留めたが、キリスト教では自殺すると地獄行き。
地獄を一旦のぞいたコンスタンティンは何とか天国に行くために、この世に侵入した悪魔の使いを
地獄に送り返し、天使から神に取りなしてもらって天国に行こうと悪魔払いとして働いていたが、
天国と地獄のバランスが崩れ、この世に悪魔が侵入してきた。
肺ガンで余命1年と宣告されたコンスタンティンは、このままでは地獄に堕ちると、なぜ悪魔がバランスを崩し
この世に侵入してきたのか真相を探りだす。
キアヌ・リーブスを主演に迎えたフランシス・ローレンス初監督作品。
天使や悪魔のキャラクターがユニークでいい。特に天使役のティルダ・スウィントンが冷たくいたずらっぽい演技で
印象を残した。
マトリックスばりのSFXだけど悪魔退治の話なので全体的に暗い。「マトリックス」とは違う暗さ。
このトーンが娯楽作品としてはマイナス面が大きかったよう。
悪魔祓いのシーンはまんま「エクソシスト」やった。
シリーズ化は微妙なところ。


「オールド・ルーキー」 アメリカ映画
2月20日 ビデオ(WOWOWにて収録)

高校の野球部監督のジムは、かつてマイナーリーグでプレーしていたが、肩を壊してメジャーへの夢を
断念した過去を持つ。
練習中ジムの投げた球の速さに驚いた生徒達は、ジムにプロへの再挑戦を勧める。
いっこうに取り合おうとしないジムに選手達は地区大会で優勝したらプロテストを受けるという賭を認めさせる。
一念発起した選手達は見事地区大会で優勝。そこから35歳のジムのメジャーへの挑戦が始まる。
デニス・クエイド主演の実録伝記物。
前半は生徒達の地区大会で盛り上げ、後半はジムのメジャー挑戦で盛り上げる。
物語の前半と後半で山が二つあるので娯楽作品として内容が濃くなった。
マイナーとメジャーの格差もよく出ているし、妻子のいるジムのマイナーでの生活の苦しさや苦悩も
過不足なく描いて、物語にいい味付けになっている。
監督のジョン・リー・ハンコックもつぼを心得た演出で心温まる娯楽作品となった。


「アイ・アム・デビッド」 アメリカ映画
2月15日13:30 ヘラルド試写室(ヘラルド)

第2次大戦後のブルガリア。共産主義に反する者は女子供関係なく容赦なく強制収容所で
過酷な労役を強いられていた。
12歳のデビッドは両親と引き離され収容所で働かされていたが、何かと気遣ってくれるヨハンは
外の世界を知らないデビッドに脱走を勧め、看守の手引きで見事脱走に成功する。
目的地はデンマーク。手引きしてくれた看守から渡された秘密の手紙を持ってデビッドの長い旅が始まった。
船で密航したり、トラックの荷台に隠れたり、いい人や悪い人、様々な出会いと別れの中で
少しずつ成長するデビッド。
やがて一冊の本が彼の運命を変える。
ヨハン役のジム・カヴィーゼル(「パッション」)は、予告編では看板だが、ちょっとしか出てない。
少年にとってはかなり過酷な旅のはずだが、全体的にぬるい印象はぬぐえない。
ただ「永遠のマリア・カラス」の記者役、ジョーン・プロウライトが出てきたあたりから物語が締まる。
ジム・カヴィーゼルで肩すかしを食った分、この名バイ・プレイヤーの存在は大きい。


「極道恐怖大劇場 牛頭」 日本映画
2月13日 ビデオ(WOWOWにて収録)

ちんぴらの字廻は若頭の尾崎を尊敬し慕っているが、最近尾崎の言動がおかしい。
街で見かけたチワワが「やくざを殺すために訓練されたやくざ犬だ」などと言って、
道路に叩きつけて殺してしまう。
組長は字廻に名古屋にあるやくざの処分場へ尾崎を連れて行き、処分せよと命令する。
渋々車に尾崎を乗せ名古屋へ向かうが、途中運転操作を誤って尾崎を死なせてしまう。
組に指示を仰ぐため電話をしてる間に尾崎の死体が消えてしまい、死体を探すために投宿した宿は
不気味な姉弟が経営するいわく付きの旅館だった。
三池崇史監督の「ヤクザ・ホラー」。
「デビット・リンチがVシネ・やくざ物を撮ったら・・・」と言うコンセプトで作られたらしい。
発想はおもしろいができあがった物はとてつもなくくだらなかった。
デビット・リンチが好きかどうかによってかなり評価は分かれるだろうけど、
おもしろくなりそうでならないので観ていてストレスが溜まる。
異様なキャラも重複してるし、哀川翔・丹波哲郎・石橋蓮司・日野正平・間寛平ら皆変な役で、
発散できずに出演者もストレス溜まったと思う。
吉野きみ佳は濡れ場なのにキャミソール2枚も着てた。乳の一つも見せるぐらいの根性見せてほしかった。
最後の「牛頭の唄」だけ少しおもしろかった。


「ビューティフル・デイズ」 インドネシア映画
2月9日15:30 東映試写室(エデン)

チンタはインドネシアの女子高生。親友達と楽しい学生生活を送っていたが、
詩のコンクールで優勝をさらっていったランガが気になり出す。
ランガは友人も少なく一人体育倉庫で本を読んでいるような、どこか寂しげな少年だった。
やがてチンタはランガと付き合いだすが、逆に女友達らと疎遠になってしまう。
ある日ランガとコンサートに行く直前、親友のアリヤから会いたいと電話がかかるが、
出かけるからと電話を切ってしまう。
その晩、家庭内暴力で悩んでいたアリヤは自殺未遂をしてしまう。
その事件以後、友人達はチンタに距離を置くようになってしまい、チンタもアリヤを救えなかったのは
自分のせいと一人悩む。
日本では珍しいインドネシアの青春純愛物。
主人公が裕福な家庭と言うこともあるかもしれないが、インドネシアの女子高生はファッションなど
ほとんど日本の女子高生と同じ。
主人公は後藤久美子似で可愛いが名前が「チンタ」なのがいけない。
インドネシア語で「愛」という意味らしいが「チンタ」は日本ではヒロインの名前にはふさわしくくないので、
いきなり腰砕け。
恋と友情で悩む万国共通の思春期の少女の話だけど、話は手あかにまみれたベタなもので、
インドネシアではヒットしたかもしれないが、日本では今更と言った感じ。


「グッバイ、レーニン!」 ドイツ映画
2月7日 DVD

ドイツが東西に分断されていた頃、東ベルリンに住むアレックスの父は西側に亡命し、
そのショックで母はしばらく精神に異常を来してしまった。
退院してからは父を忘れるため熱心な共産主義者となったが、アレックスが反体制デモで逮捕されたショックで
またしても入院。
昏睡状態で眠っている間にベルリンの壁が崩壊し、資本主義へと社会は大きく変わっていく。
母は意識を取り戻したが医者から大きなショックを与えると命に関わると言われたアレックスは、
共産主義時代の物を集め、母にはまだ社会主義が続いているよう騙し続ける。
本作が長編2本目のヴォルフガング・ベッカー監督作品。
ベルリンの壁崩壊で混乱するベルリンの人々を庶民レベルで描き、資本主義になって逆に被害を被った人々も
いることを本作は静かに描いている。
社会主義が続いているよう母親を騙し続けるためニュースまでねつ造するのがおもしろい。
地味だけどベルリンの壁崩壊を変わった視点で描いた秀作。


「リクルート」 アメリカ映画
2月6日 DVD

コンピューター・プログラムで非凡な才能を発揮するクレイトンにCIAの教官バークが接近する。
クレイトンの才能を見込んでCIAのスカウトに来たのだという。
亡くなったクレイトンの父もCIAだったとほのめかすバークに動揺するクレイトン。
CIA行きを決意したクレイトンは採用試験に通り、厳しい訓練を経て、はれてエージェントとなると思いきや、
訓練所を脱落したように装い、CIA内部を調査する裏の工作員として働かされる。
やがてクレイトンはCIA内部でうごめく陰謀をかぎつける。
アル・パチーノ、コリン・ファレル主演、「追いつめられて」「ダンテズ・ピーク」のロジャー・ドナルドソン監督作品。
前半はCIAの訓練風景で見せ、後半は内部の見えざる敵との緊迫したやりとりで見せる。
全体のテンポもいいしエンターテインメントとしてドナルドソン監督はうまくまとめている。
教官役にアル・パチーノを起用したことによって、映画がぐっと引き締まった。


「デーモンラヴァー」 フランス映画
2月4日13:00 東映試写室(東北新社)

世界的大企業のヴォルフ・グループは革命的アニメ技術を持つ東京アニメ社の買収に乗り出していた。
ヴォルフ・グループのサイトの利権を手に入れるためにマンガトロニクス社から産業スパイとして送り込まれた
ディアーヌが買収スタッフに入り込んでいたが、ライバルのデーモンラヴァー社のスパイも潜入していた。
見えぬ敵に焦り出すディアーヌに巨大裏ポルノ・サイトの存在が見えてくる。
「グラディエーター」「閉ざされた森」のコニー・ニールセン主演作品。
スパイが入り乱れすぎで、スパイを送り込んだ企業の目的もわかりにくい。
個性的な俳優を配しているが監督のオリヴィエ・アサイヤスはスタイリッシュな映像に凝り過ぎて
物語を置き去りにしてしまったよう。
観客は物語をちゃんと追えずすっきりしない。
産業スパイの暗躍を描いたアクションなのか、有害サイトの危険性に警鐘を鳴らしたいのか、
どっちつかずの煮え切らない映画になってしまった。


「クライシス・オブ・アメリカ」 アメリカ映画
2月2日13:00 UIP試写室(UIP)

陸軍大尉のマルコは、テレビで湾岸戦争時の部下ショーが副大統領の候補となってるのを見て
複雑な気持ちになった。
部隊を救った英雄として勲章をもらったショーだが、自分の記憶に何か違和感がある。
ある日かつての部下がマルコの元に訪れ、毎日悪夢にうなされると訴える。
戦闘による精神障害だとなだめるマルコだが、実は自分の見る夢と酷似していた。
肩に埋め込まれたカプセルを発見し、戦時下で自分の身に何か行われたのではないかと
疑念を抱くマルコは独自に操作を始めるが、相手はあまりにも大きかった。
デンゼル・ワシントン主演、「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミ監督作品。
マインド・コントロールをテーマにした映画だが、「戦争帰還兵の悪夢後遺症物」としては
「ジェイコブス・ラダー」と言う秀作がある。「ジェイコブス〜」の方が脚本・映像ともすばらしく、
いろんなところでその映像センスは真似されているぐらい。
どうしても同趣向なので比べてしまい、本作は見劣りする。
簡単な呪文であっさりと催眠にかかったり、子供だましのような部分もある。
女性議員役のメリル・ストリープだけが強烈な個性を発揮し得をした。


「世界で一番パパが好き」 アメリカ映画
2月1日19:00 完成披露試写、リサイタルホール(東芝エンタテインメント)

出産で妻に先立たれたニューヨークのパブリスト(スターの宣伝マン)オリーは、仕事に失敗し
父の住む田舎で娘ガーティーと暮らしていたが、ニューヨーク暮らしが忘れられず、
もとの仕事に復帰しようとする。
面接の日は大事な娘の学芸会の日だった。
ベン・アフレック主演のパパと娘の親子の愛情を描いたお涙ちょうだい映画。
娘役のラクエル・カストロはオシャマだけど「天才子役」と言われる程のこともないし。
アフレックと恋が芽生えるリブ・タイラーの絡め方もわざとらしい。
「最近親子愛情物がないから、このあたりでかましておきましょ」程度の、何の工夫もない物語。
ジェニファー・ロペスが死んだ妻役でちょっとだけ顔出してる。


「復讐者に憐れみを」 韓国映画
2月1日13:00 東映試写室(シネカノン)

姉弟2人暮らしで、画家になることを夢見ていた聾唖者リュは、姉の腎臓病のため美大行きを断念。
過酷な労働でやっとためた金を臓器密売業者に奪われ、おまけに自分の腎臓も盗られてしまう。
病状が悪化する姉を救うために、恋人で過激派組織に所属するヨンミの提案で誘拐を決行するが、
この誘拐が思わぬ方向に転がり、憎悪の炎が燃え広がる。
「JSA」「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が「オールド・ボーイ」以前に撮った強烈な復讐物語。
復讐の輪が次から次に繋がり、復讐する者とされる者が混沌となって絶望的なクライマックスに向けて転がり出す。
きつい映画やったけどよくできてる。
誘拐された少女の父役のソン・ガンホが特にいい。この人は体重を落とし「大統領の理髪師」の小市民の演技とうって変わって、
静かだが激しい復讐心を観客に痛いほど伝えた。
一見コミカルに見えるシーンも残酷さの裏返し。
チャヌク監督は静かに淡々とそら恐ろしい映像を随所に挟み込み、映像・編集とも非凡な才能を見せつけた。
この映画を観ると「オールド・ボーイ」が生ぬるく感じる。


「火山高」 韓国映画
1月31日 DVD

強力な「気」の使い手ギョンスは、その「気」のせいで8校の高校を退学になり、この火山高が9校目。
何とかキレやすい性格を抑えて無事卒業したい。
ところが火山高は校長が隠し持つと言われる秘伝書「師備忘録」を巡り抗争を繰り返していた。
ギョンスは転校早々その争いに巻き込まれていくのだった。
韓国がワイヤーアクションとCGを駆使した学園バトル物。
全体のトーンが暗いし、盛り上がりそうで盛り上がらず、ストレスを溜めながらラストの大バトルになだれ込む。
ラストだけでなくもっと途中で見せ場を配置しないと観てる方がダレる。
秘伝書「師備忘録」の扱いもよくわからんし。
剣道部の主要俳優の竹刀の構え方などはいいが、その他大勢はわりといい加減。
助監督はエキストラにまでちゃんと演技指導しないと興ざめ。
おもしろくなりそうな題材なのに残念。


「山猫は眠らない2 狙撃手の掟」 アメリカ映画
1月28日 ビデオ(WOWOWにて収録)

今は引退してハンターのガイドをしている伝説の狙撃手ベケットのもとに、CIAと軍関係者がやってくる。
バルカン半島に緊張をもたらす将軍の暗殺を引き受けてくれと言うのだ。
素人ハンターのガイドという、ぬるい仕事に辟易していたベケットは、かつての階級に戻すことと
腕のいい相棒を要求。
死刑囚だが腕のいいコールとコンビを組んで適地に潜入。現地地下組織の協力の下、見事暗殺に成功するが、
逃走途中コールは捕らわれてしまう。
「山猫は眠らない」の続編。トム・ベレンジャーが再び狙撃の名手役で登場。
狙撃した自分の位置がバレないように仕掛けた陽動装置などおもしろいシーンもあるが、
いくら腕がいいと言っても引退した初老の男を大事な作戦に使うのは不自然。
現にトム・ベレンジャーは走っている時とてもしんどそう。
民間人の普通の服で戦ったのではクライマックスが盛り上がらないので、敵兵の黒の軍服に着替え、
インカムまでつけてかっこつけた。
ラストのスナイパー同士の戦いは、まんま「スターリングラード」だった。


「オオカミの誘惑」 韓国映画
1月28日15:30 東映試写室(シネカノン)

ハンギョンは女子高生。父が亡くなり再婚した母の元に引っ越してきたが、転校してきた高校で
喧嘩がめっぽう強くハンサムなヘウォンが好意を寄せてくる。
しかしある日、偶然街で知り合った他校のテソンから「お姉さん」となれなれしく呼ばれる。
次の日なんとハンギョンの教室に他校のテソンがプレゼントを持って現れるが、
実はテソンとヘウォンは犬猿の仲でいつも喧嘩を繰り返していた。
仲間達と殴りかかるヘウォンの前に、「無勢に多勢は卑怯」と立ちはだかるハンギョン。
そんなハンギョンをよそにヘウォンは「俺の彼女だ」と宣言するが、テソンもハンギョンが好きだった。
ハンギョンを巡って恋の火花が散るが、ある秘密が明らかになる。
韓国の現役女子高生が書いてヒットしたインターネット小説の映画化。
韓国のイケメン、チョ・ハソン、カン・ドンウォン主演。
全体的に女子高生好みのストーリー展開で、たいして可愛くない女の子をなぜ腕っぷしの強いハンサム二人が
取り合いするのか、説得力に欠ける。
喧嘩のシーンも蹴ってばかりでバリエーションないし、キスシーンなどロマンチックなシーンは、
少女漫画のコマ割りのようなカット。
「実は血が繋がっていた」とか「不治の病」とか「お約束」連発で「女子高生だまし」の映画。


「戦争のはじめかた」 アメリカ・ドイツ映画
1月25日13:30 東映試写室(シネカノン)

ベルリンの壁崩壊前の1989年。西ドイツのシュツットガルトに駐留する米軍は敵対する敵もいない今、
軍紀は乱れ隊内で麻薬が横行していた。
補給部のエルウッドは物資の横流しや麻薬の密売で儲けていたが、隊内の粛正のため派遣されたリー曹長に
目をつけられ、ことごとく商売を邪魔される。
曹長への嫌がらせとして曹長の娘のロビンに近づくが本気になってしまう。
エルウッドは兵器の横流しで一儲けをたくらもうとしたが、昇進をもくろむ指揮官がライバル部隊との演習を提案。
演習の舞台はエルウッド達が兵器を隠した核基地だった。
演習が長引けば取引が失敗し自分の命が逆に危ない。エルウッドは一計を案じ、ある行動に出る。
ホアキン・フェニックス主演のブラックな軍隊内幕物。
2001年に完成してたらしいが「9.11」のテロでお蔵入り。やっと公開にこぎ着けたいわく付きの作品。
軍隊を皮肉った映画として「M・A・S・H」があるが、こちらはブラックなユーモアで語られているのに対し、
本作はブラックではあるがクールに描かれている。
製作費は安そうで、上空を飛んでいるヘリコプターの編隊が合成だったりするが、エド・ハリス、スコット・グレンら
渋い役者が脇を固めているし、「ピアノ・レッスン」「X−MEN」のアンナ・パキンもいる。
ラスト以外大きな盛り上がりがないものの小エピソードが上手にちりばめられ、ラストにむけてボルテージが上げられていく。


「友へ チング」 韓国映画
1月23日21:00 日曜洋画劇場

優等生のサンテク、やくざの息子ジュンソク、葬儀屋の息子ドンス、ひょうきん者のジュンホ。
4人は幼なじみで同じ高校に進学してからも大親友でいつもつるんでいた。
ある日映画館で他の高校と大乱闘を繰り広げ、けんかの強いジュンソクとドンスは退学になってしまう。
数年後、サンテクとジュンホは大学生になったが、ジュンソクは親の跡を継いでやくざに、
ドンスは家業を嫌ってジュンソクと対立する組の幹部になっていた。
やくざのけじめと友情の狭間で悩むジュンソクだが、ドンスは子供の頃から兄貴風を吹かすジュンソクに
敵対心を燃やすのだった。
やくざ役の二人、 ユ・オソンと チャン・ドンゴンがいい。とくにユ・オソンの面構えは細いが迫力ある。
幼なじみの一人が変に警察官になったりしないのがいい。
この手の映画はドラマを盛り上げるために、やくざと警察とまったく別の道を歩んで友情と立場の
板挟みになったりするが、それをしないのは賢明。
でも後半は大学生二人の存在が希薄になっていき、やくざ二人を中心に物語が移行する。
結局やくざ映画なのか、友情を描いた映画なのか焦点がぶれてしまった。


「エメラルド・カウボーイ」 コロンビア映画
1月21日10:15 ヘラルド試写室(アップリンク、アンデス・アート・フィルムズ)

70年代にコロンビアに単身渡り、エメラルドの仲買人から出発し、今では鉱山、輸出会社などを所有している
エメラルド王、早田栄志の人生を描いたセミ・ドキュメント。
「アクション・ドキュメンタリー」と名付けられているが、純粋なドキュメンタリー映画ではなく、現在の早田を本人が、
若き日の早田をコロンビア人の役者が演じている。いわば早田栄志の人生の再現フィルム。
早田も含め本人が登場して芝居したりするので、とても芝居臭いわざとらしいシーンが多いが、
薬品で着色した石をエメラルドと称して売りつけようとする仲買人や、ゲリラの襲撃、ビジネス化した誘拐から家族を守るため
ロスに移住させたり、治安の悪さもあってここでのし上がっていくのはかなりの苦労があったよう。
自身も常に10人のボディーガードに守られて移動しているらしいが、武装したボディーガードの動きは本物のようで、
見事なフォーメーションで組織化されていて映画のためだけではなさそう。
映像は作り物だけど、この人の人生は誇張された物ではなく、波乱に満ちた冒険の連続に、少々のことは目をつむって
最後まで見てしまう不思議な説得力のある映画。


「ホワイト・ライズ」 アメリカ映画
1月20日15:30 ヘラルド試写室(ヘラルド)

婚約者の兄の会社で働くマシューは婚約者と食事中、かつての恋人リサを目撃する。
愛し合っていた二人だが2年前にリサは何の前触れもなくマシューの前から忽然と姿を消してしまった。
なぜ自分の前から何も言わず去ったのか、今でもリサを忘れられないマシューはリサのアパートを探し出すが、
そこにはリサと似ても似つかぬ女性が住んでいて、自分がリサだと名乗る。
彼女の靴や香水などは明らかにかつて愛したリサの物なのだが・・・。
ジョシュ・ハートネット主演のラブ・ミステリー。
謎解きの要素を加えてひとひねりした恋愛物。
ジョシュ・ハートネットは顔は若きトミー・リー・ジョーンズにそっくりだが、こういう繊細な役柄はぴったり。
随所に伏線が張られていて、それらのピースの散らばり方がいい。しっかりした脚本。
ただ、大事な会議で中国に行かないといけないのに、すっぽかして何日も恋人を探す主人公に、
仕事は捨てたと思っていたら途中でまた中国行きの手配をする。
「今から行って間に合うのかよ」と人ごとながら心配になってしまった。
このあたり、仕事がどうなったかがあやふやですっきりしない。
ヒロインのダイアン・クルーガー(「ミシェル・ヴァイヨン」「トロイ」)より、ローズ・バーン(「スター・ウオーズ、エピソード2」「トロイ」)
の方が印象を残した。


「大統領の理髪師」 韓国映画
1月20日13:00 東映試写室(アルバトロス・フィルム)

ソン・ハンモは大統領府のしがない理髪師。教養もなく友人に言われるまま不正選挙に荷担し、
大統領のお膝元と言うだけで店に大統領の写真を飾る。
ある日大統領の警護室長がやって来てハンモは大統領専属の理髪師に任命される。
政治のことは全くわからないハンモは、ただそのまじめさだけでパク大統領に仕え可愛がられるが、
権力闘争やスパイ疑惑に巻き込まれていく。
「シュリ」「殺人の追憶」のソン・ガンホが町の理髪師を好演。
コミカルなシーンは理髪師の人間性を表し微笑ましいし、それらすべてが彼の庶民性となってキャラクターに厚みをつける。
家族思いの優しさと真面目さがソン・ガンホの演技力で観客にちゃんと伝わり、それが後半の大きな波に翻弄されていく
小市民としてドラマを盛り上げる。
小市民と大統領、そして激変する政治情勢。それらが織りなす悲しい庶民のドラマ。
いろんなジャンルの映画があって韓国映画はやはりおもしろい。


「ソラリス」 アメリカ映画
1月19日 DVD

心理学者のクリスは政府の役人から、惑星ソラリスを探査中の宇宙ステーション「プロメテウス」の調査を依頼される。
プロメテウスでは乗員に異変が起こり、通信も途絶えているというのだ。
プロメテウスに到着したクリスは友人の科学者ジバリアンの遺体と対面する。
科学者のスノーとゴードン以外は皆自殺したというのだ。
やがてクリスの身にも異変が起こり出す。
スティーブン・ソダーバーグ監督が1977年公開のソ連映画「惑星ソラリス」をリメイク。
あの難解で地味な映画がハリウッドでどのようにリメイクされたか期待してたが、まったく同じだった。
テーマは観念的なものなのでそれを変えるとこの映画の意味はなくなるが、もうちょっとエンターテイメント性を持たせてほしかった。
これならソ連製の「惑星ソラリス」を見てる方がいい。
セットは「2001年宇宙の旅」のようで全く新鮮さもないし。カメラワークだけがソダーバーグだった。
主演はジョージ・クルーニー、製作はジェームズ・キャメロン。


「コーラス」 フランス映画
1月19日13:30 ヘラルド試写室(ヘラルド)

世界的な指揮者ピエールは母の葬儀で戻った故郷で子供時代の友人ペピノと再会する。
彼から渡されたのは子供時代の音楽教師マチューの日記だった。
1949年、音楽教師マチューが赴任したのは、問題児が寄宿する「池の底」という学校だった。
いたずらを繰り返す子、心を閉ざした子・・・、彼らは寂しさから心がすさんでしまったとマチューは見抜くが、
校長は体罰で生徒を押さえつける厳格な人だった。
子供達の心を開かせるためマチューは合唱団を結成する。
彼らに歌など歌えるものかと校長は気にもかけなかったが、マチューは一番の問題児ピエールの才能を見抜き、
熱心な指導のもと生徒達はめきめきその才能を伸ばしていく。
ある日噂を聞いた伯爵夫人の前で歌を披露することになった。
「パティニョールおじさん」のジェラール・ジュニョが熱心な音楽教師を熱演。
彼のキャラクターがこの映画の全体像を作る重要な役柄。
生徒達が教師に言われたからとすんなり合唱するのはちょっと性急すぎたよう。
生徒達が徐々に参加するというセオリーがない。
校長からクビを言い渡されるマチュー。普通はそれからもう一波乱あるのだが、すんなり学校を去る。
全体的に物語がちょっとあっさりしすぎ。これがフランスの味付けなのかもしれないが、
この手の映画はもう少し臭いめの方がいいのに。


「ロング・エンゲージメント」 フランス映画
1月18日19:30 完成披露試写、梅田ピカデリー(ワーナー)

第1次世界大戦に出征し死んだと伝えられた恋人マネクを、「彼が死ねば私の心に何か伝わるはず、きっと生きている」と、
マチルダは探偵を雇い復員兵やその家族から彼の最後の様子を聞き込み、何とか彼を捜そうとする。
「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督とオドレイ・トトウ主演作品。
ジュネ監督は「デリカテッセン」から好きな監督ですごい期待してた。
映像はやはりうまいし独特の雰囲気を持ってるけど、謎解きの部分が多く、登場人物が煩雑で名前が覚えられない。
おまけにこの当時はカイゼル髭が流行っていたので顔まで皆同じに見える。
恋人マネクがアホみたいで、マチルダがそんなに苦労してまで探し出したい人物にあまり見えない。
3〜5年に1本しか撮らないジュネ監督の次回作はまた4年程待たされる。
ちょっと残念。


「セルラー」 アメリカ映画
1月18日13:30 ヘラルド試写室(ヘラルド)

幸せな主婦がある日突然誘拐され監禁される。
犯人は夫が隠してる何かを探してるらしいがわからない。
監禁された屋根裏部屋で壊された電話を何とか回線をつなぎ、やっと繋がったのが見ず知らずの男の携帯。
男は初めは冗談だと思っていたが、電話の向こうで聞こえる緊迫した声に事態の重大さを知り、
彼女と家族を助けるために奔走する。
キム・ベイシンガー主演のアクション映画。
携帯を切るともう二度と繋がらないので電話したままで車は飛ばすわ、格闘するわで大変。
話はわかりやすくテンポもある。
B級映画やけど、スタントマン上がりで有名監督の下で長年第2班監督として仕事してきた
デヴィッド・R・エリス監督は、カースタントも見せ方がうまく、アクションを上手に見せ切れがいい。
「ファーゴ」のウィリアム・H・メイシーや「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムなど渋い脇役陣もいい。


「風雲!格闘王」 香港映画
1月14日13:30 東映試写室(クリエイティブアクザ)

広告代理店で働くケンは健康ドリンクのスポンサーに自分の好きな格闘の世界大会主催を提案する。
スポンサーに気に入られるが、世界大会と銘打つためには少林寺の参加がないと成り立たない。
少林寺の総師は駆け落ちで自分のもとから去っていった愛弟子のセクが参加するならと条件付きで
参加を認める。
ケンは日本に飛びセクを説得、娘のアンナは父の拳法を少林寺に認めさせるために参加を決める。
世界から選りすぐりの武芸者が集まって大会は成功するかに見えたが、アンナがケンに恋をしたため
ケンの彼女スーチャウと恋のバトルロイヤルが始まった。
「少林サッカー」のスタッフが作ったとあるが、安っぽいワイヤーアクションで興ざめ。
癖のある選手は集まってるものの、テレビゲームのような格闘大会も迫力ないし、恋のバトルも陳腐。
倉田保昭の偽闘だけが締まって見える。
「少林サッカー」は監督のチャウ・シンチーのビジョンと情熱でできた映画で、他のスタッフが集まっても
同じような映画はできない。
香港にしては切れの悪いカンフー映画だった。


「THE JUON  呪怨」 アメリカ映画
1月13日19:20 完成披露試写、梅田ブルク7(ヘラルド)

カレンは東京の大学で福祉を学んでいるが、介護のボランティアに出かけた痴呆老女エマの家で、
得体の知れない物を目撃する。
明くる日、ショック状態でカレンは発見されるが、エマは帰らぬ人となっていた。
その家を訪れた者は何かにとりつかれたように次々と変死していき、やがて数年前にその家で起こった
凄惨な事件が浮かび上がってくる。
清水崇監督の同名映画をサム・ライミが同じ清水監督を使ってリメイク。
同じ監督というのもあるが日本版とほとんど同じ。
同じ監督が同じ映画を何度も撮るのはいかがなものか。日本版のままアメリカで公開してもよかったのに。
日本家屋でないと怖さが出ないと舞台を日本にしたが、主要人物がアメリカ人なのは無理がある。
主役のサラ・ミシェル・ゲラーは楳図かずおの漫画みたいなホラー顔ではあるが華がないし、
「インディペンデンス・デイ」のビル・プルマンは冴えない。
しかし怖さは「リング」以上なので、アメリカ人が見たら失神するねやないやろか。


「ビヨンド the シー」 アメリカ映画
1月12日13:00 ヘラルド試写室(ギャガ・コミュニケーションズ)

リウマチ熱のため15歳まで生きられないと医者に診断されたボビーは、母親の影響で音楽の才能が開花。
成人したボビーはプロの歌手としてデビューする。
マネージャーのスティーブ、昔からのバンド仲間のディック、付き人の義兄チャーリーらの支えで
ボビー・ダーリンの曲は大ヒット。グラミー賞を手にする。
映画で共演した新進女優のサンドラと結婚し、有名クラブにも出演。一流のエンターテイナーとして
頂点に駆け上がるが、ベトナム戦争で世の中はガラリと変わってしまう。
そんな時、ボビーは自分の出生の秘密を知り、音楽から遠ざかってしまう。
若くして亡くなった伝説のエンターテイナー、実在のボビー・ダーリンの生涯をケヴィン・スペイシーが
10年の歳月をかけて映画化し、製作・監督・主役の3役をこなす。
4年間練習したという歌はいいが、ダンスはカット割りでごまかしてるが、あまりうまくない。
自分の伝記映画撮影から始まり、自分の分身とも言える子役に導かれ自分史を振り返る。
この子役の存在は「オール・ザット・ジャズ」の天使をモチーフにしたと思われる。
レイ・チャールズの伝記映画「レイ」が同じような時期に公開されるが、ボビー・ダーリンはレイ・チャールズほど
人生に波風がないので比較されると不利。
レイ役のジェイミー・フォックスはアカデミー主演男優賞にノミネートされてるし。
ライバル出現で損をした映画。


「きみに読む物語」 アメリカ映画
1月7日15:30 ヘラルド試写室(ギャガ・ヒューマックス)

老人ホームに暮らす男は同じ施設に住む痴呆の女性に毎日本を読んで聞かせるのが日課。
その物語は半世紀以上前の田舎町での出来事だった。
金持ちの娘アリーは避暑のため田舎町にやって来たが、製材所で働く貧しいノアは一目惚れ。
ノアの誠実な人柄に惹かれたアリーはたちまち恋に落ちる。
ノアは金を貯めていつしか村はずれの朽ち果てた豪邸を買い取り、農園をしたいとアリーに打ち明ける。
しかし、二人の甘く幸せな日々は長くは続かなかった。
二人の仲を反対する両親はアリーを街の大学に通わせ、ノアから引き離す。
失意のノアは毎日手紙を書くが両親はそれを隠してアリーに見せることはなかった。
数年後アリーは資産家の息子と婚約したが、たまたま目にした新聞に目が釘付けになる。
そこにはノアの夢だった屋敷の前に立つ彼の姿があった。
アリーの心は激しく揺れ動くのだった。
「タイタンズを忘れない」のライアン・ゴズリングや、レイチェル・マクアダムスと言った若い俳優が物語の中心人物だが、
ジーナ・ローランズ、ジェームズ・ガーナー、サム・シェパードら渋い俳優が要所要所で画面を引き締める。
とくにジョアン・アレンが冷たい母を好演。「ボーン・スプレマシー」に続いて存在感のある演技が光る。
役者達はいいが、アリーのどっちつかずの煮え切らない態度は共感できない。
ラストもちょっとドラマティックにし過ぎ。


「エターナル・サンシャイン」 アメリカ映画
1月7日13:00 ヘラルド試写室(ギャガ・ヒューマックス)

ジョエルは恋人クレメンタインと別れ、失意の日々を送っていた。
何とか仲直りしたいと願っていたが、ある日クレメンタインが記憶を消し去る装置で、
ジョエルの記憶を完全に消し去ったと知る。
二人の仲が修復不能と知ったジョエルは失恋の苦しさから解放されるために
自分もその施術を受けることにした。
しかし、施術を受けている最中、脳裏に浮かんでくるのは二人の楽しい思い出達だった。
ジム・キャリーがコミカルな演技を封印した切ないラブ・ロマンス。
シリアスといってもそこはジム・キャリーなのでただの恋愛物に終わらない。
彼女の記憶を消し去る施術シーンでは脳の中の世界が描かれ、脳の中で何とか機械から
逃れようとする二人の逃避行が始まる。
「メメント」「21g」方式を取り入れ、時間軸を順を追わず逆から話を進めて、ひとひねり加えた
恋愛映画になった。
相手役は「タイタニック」のケイト・ウィンスレットだがすごく太ってヒロインに不向き。
「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッドはパッとしない役やし、「スパイダーマン」のヒロイン、
キルスティン・ダンストは相変わらず不細工。
脚本は「マルコヴィッチの穴」のチャーリー・カウフマン。


「エイリアンVS.プレデター」 アメリカ映画
1月4日12:25 三番街シネマ

ウェイランド社の衛星が南極の地下600mに熱源を発見。そこにはピラミッドらしき建造物も確認された。
世紀の発見とばかり社長は世界各地から科学者達を集め、探査チームを結成する。
地下のピラミッドに到達した一行を待ち受けていたのはエイリアン達で、科学者達は閉じこめられてしまう。
そこに好戦的な宇宙の戦士プレデターが現れた。
実はそこは太古からプレデターの戦闘訓練をするための施設で、プレデター達はエイリアンと戦って勇気を
証明していたのだった。
かくして人類とエイリアン、プレデターの三つどもえの戦いが始まった。
「バイオハザード」のポール・W.S.アンダーソン監督作品。
もうネタが尽きたシリーズを2本合体させたSFアクション映画。
エイリアン・シリーズは未来、プレデター・シリーズは現代を舞台にしてきたが、今回は現代が舞台。
つまりエイリアンは昔は地球にもいたことになる。
前半は探検隊が南極の地下に入っていく緊迫感で見せ、後半はエイリアンと人間、プレデターの戦いで見せる。
シリーズ2本を合体させた安易な映画のようだが、アンダーソン監督の手腕もあり退屈せずに見られた。
「エイリアン2」のアンドロイド役ランス・ヘンリクセンが社長役で出ている。